偏った食生活。。サプリメントのみで足りない栄養素は完璧に補える?

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ラーメンハンバーク

体に悪いと知りつつ、ついつい食べてしまうファストフードやカップラーメン、コンビニフードは、栄養バランスを欠いた典型的なメニューです。

手軽だから、安いから、忙しいからということで、これらが主食になってしまっている人も多いのではないでしょうか?

中には、そういったメニューばかり食べていながら、「食生活が偏ってるならサプリメントで補ってしまえばセーフ!」などと考えている人も少なくないはずです。

では、サプリメントはどこまで効果が期待できるのでしょうか?
不足した栄養素をすべてカバーできるのでしょうか?

今回は、そんな「サプリメントの謎」について詳しく解説していきます。

ハンバーグ

サプリメントが食べ物の代わりにならない理由

特定の栄養素に特化して製造された「サプリメント」は、数多くの種類の商品が市販されています。

食事で摂れない栄養素が手軽に摂れるということで、多くの人に人気のサプリメント。

実際、「栄養バランスが不安だから」「食事偏っているから補完的な意味で」とサプリメントを摂っているという人も多いと思います。

では、果たしてサプリメントは、不足しがちな野菜や果物、魚の栄養の代わりになるのでしょうか?
結論から言うと、答えは「NO」。

これから、その理由を詳しく解説していきたいと思います。

「トマトの栄養素を摂ること」≠「トマトを食べること」

トマト

肉類や魚類、野菜や果物など、食べ物には実に様々な栄養素が含まれています。

よく、食品の栄養成分表示で見かける栄養素は、実は「存在が確認され、抽出に成功した成分の1つ」であり、その食品に含まれている全部の栄養素を指しているわけではありません。

記載されている栄養素以外の正体は、まだ不明な点が多いのです。

ある栄養学の教授によると「トマトのリコピンを入れたサプリメントは作ることができるが、トマト自体をサプリメントにする技術はまだ確立されていない」のだとか。

野菜や果物を食べることの重要性とは?

野菜や果物

さらに、食べ物が分かっている栄養素だけで構成されているわけではないことが分かる例として、次のような実験があります。

これまでの統計や研究・実験の結果から、「でんぷん質(イモ類など)でない野菜」や「フルーツ」の積極的に摂ることで、各部位のガンを抑制されるということが判明していました。

そこで、多くの野菜類に豊富に含まれる「β‐カロテン」を、サプリメントにして被験者に飲んでもらい、同じように効果があるか検証する、という実験が行われました。

試験の結果、β‐カロテンのサプリメントを与えられた被験者のガンの発症率が高くなってしまい、実験が中断せざるを得ない状況となったのです。

つまり、「野菜やフルーツ自体を食べることが重要であり、それらに含まれる栄養素を抽出したサプリメントを摂ったところで、野菜やフルーツの代わりにはならない」ということ。

いくら健康に良いといわれる成分をサプリメントで摂っても、食べ物にはかなわないというわけですね。

「栄養バランス良く」といわれる真の根拠とは?

では、次は話題を変えて、多くの栄養素を摂ることの意味を紹介しましょう。

よく、「食事は栄養バランス良く」という言葉を聞きます。

これは、いわずもがな、健康や若々しさにはさまざまな栄養素が必要という事ですが、そもそもなぜたくさんの栄養素を摂る必要があるのか?
それには、栄養素の「吸収」と「作用」に関係がありました。

46必須栄養素を効果的に吸収し、作用させるためには、ある一定の条件があります。

実は、栄養素は単体で摂ってもあまり意味がありません。

下の図1を見てみてください。

【図1】

46必須栄養素
出典:yahoo画像検索「46必須栄養素」

 

これは、人間が生きる上で絶対に必要な46必須栄養素の図ですが、どの栄養素をとっても、別の栄養素と線でつながっています。

このそれぞれの47必須栄養素は、
・緑の線でつながっている栄養素がなければ体に吸収されない
・青い線でつながっている栄養素がなければ役に立たない
ことが分かっています。

 

ここで一例を挙げてみましょう。

ドラッグストアで手軽に手に入るサプリメントの中に「亜鉛」があります。

上の図だと、右下の方にあります。

亜鉛は味覚や免疫機能、男性の生殖機能などに影響する栄養素ですが、単体で摂ってもあまり効果がありません。

亜鉛を体に吸収するには、亜鉛から伸びる緑の線とつながっている、「鉄」と「マンガン」のサポートが必要です(図2)。

 

繰り返しになりますが、亜鉛だけを摂っても体に吸収されません。

緑の線とつながっている成分がないと、うまくいかないのです。

単純に精力増進したいからと亜鉛のサプリメントを摂っても、さほど意味がないということですね。

では、マンガンと鉄のサポートを受けて、亜鉛が体に吸収できたとします。

これで亜鉛の効果が得られると思いがちですが、それもまた間違い。

体に吸収された栄養素は、青い線でつながっている栄養素のサポートがなければ、体内で効果的に作用することができません。

亜鉛の場合は、「銅」や「コバルト」「ビタミンA」がそれにあたります(図2)。

これらがないと、仮に亜鉛が吸収されたとしても、体内で働くことはできないのです。

つまり、亜鉛はマンガンと鉄がなければ吸収できず、銅、コバルト、ビタミンAがないと、亜鉛の効果は得られないというわけですね。

【図2】

ビタミンコベルト亜鉛銅
出典:yahoo画像検索

これは、亜鉛だけでなくどんな栄養素に言えますが、単体で摂ってもサポート的栄養素がないと十分に吸収もできず、体内で効果的に作用することもできないということです。

これが、栄養素を体内にしっかり吸収、作用させるための条件です。

つまり、品目数の多い、栄養バランスのとれた食事をすることで、やっとそれぞれの栄養素が吸収され、作用するということ。

サプリメントだけで大きく偏った食事をカバーし切るには、やはり無理があるのです。

単体栄養素のサプリメントは意味なし?

サプリメント

先ほど紹介した栄養素の条件を知ると、不思議に思うことが出てきます。

それは、単体栄養素のサプリメントの存在。

風邪には「ビタミンC」、精力アップに「亜鉛」、眼精疲労に「ビタミンA」・・・。

このような摂り方では、栄養素は体内にほとんど吸収されず、十分に作用もしないため、あまり意味がありません。

これは栄養素の条件に合っていないからですね。

「単体で摂る」というのは、摂っていないのも同然
食事もさることながら、サプリメントもバランス良くとる必要があるのです。

サプリメントには、「マルチビタミン」「マルチミネラル」といった複数のビタミン、ミネラル類を含有したものがあります。

食事をバランス良くとるのが前提となりますが、サプリメントを摂るなら単体でないものがおすすめです。

 

参考:ネイチャーメイド マルチビタミン&ミネラル
「ネイチャーメイド マルチビタミン&ミネラル」は、亜鉛、銅、ビオチンの栄養機能食品です。

毎日の食事で不足しがちな栄養素を補ったり、美容や健康に必要な栄養素を取りたい方におすすめの商品です。

ネイチャーメイド マルチビタミン&ミネラル
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食べ物VSサプリメント 効果的にビタミンが働くのはどっち?

食べ物VSサプリメント

 

先ほど、単一の栄養素をとってもあまり意味がないということを紹介しましたが、もう1つ。
食べ物の方が優れている点があります。

たとえば、ビタミン類の場合。

ビタミンには、「ビタミン」という形をとったものと「ビタミン誘導体」という形をとったものがあります。

「ビタミン」と「ビタミン誘導体」は、似て非なる物質です。

わかりやすくいうと、

ビタミン
それ自体が栄養素として働くが、不要な分を肝臓で貯蔵できない。

ビタミン誘導体
それ自体、栄養素として作用しないが、加工することでビタミンに変換される。

肝臓で貯蔵でき、必要な時に取り出すことができる。

ビタミン誘導体は、体内で「ビタミン誘導体⇒ビタミン」へ変換されて使われます。

ビタミン誘導体は栄養素としての働きはしませんが、ビタミンに変換されると栄養素として作用します。

食ベ物に含まれるビタミン類は、ビタミン誘導体の形で含まれています。

食事によって、ビタミン誘導体が吸収され血中に溶け込みます。

その後、体の隅々にまで運ばれ、1つ1つの細胞にある酵素によって、ビタミン誘導体からビタミンに変換され、消費されます。

余ったビタミン誘導体は、肝臓に貯蔵され、必要に応じて血液に放出されます。

一方、特に安価なサプリメントの場合、ビタミンの形で含まれているものがほとんど。

ビタミンは、体に吸収されて血中に溶け込む段階で、一時的に高濃度に傾きやすくなります。

血中ビタミンの濃度が高くなりすぎると、体にとっては毒になり副作用の要因にもなりかねません。

食品扱いのサプリメントだからと安心しきって、大量に摂りすぎると、吐き気、頭痛、めまいなどの副作用を引き起こすのです。

また、体内の余分なビタミン誘導体は肝臓に貯蔵されますが、ビタミンはほとんど貯蔵されません。

ビタミン誘導体は、必要に応じてビタミンへ変換されるので、ビタミンの形で貯蔵する必要はないわけですね。

このことから、食べ物とサプリメントを比べた場合、ビタミン誘導体を多く含んだ食べ物の方が、ビタミンは有効に使われ、副作用のリスクもないことが分かると思います。

サプリメントは、食べ物より即効性の面では優れていますが、用法用量をしっかり守る必要があります。

また、医薬品のビタミン剤の場合、多くがビタミン誘導体の形で製造されいます。

このため、服用によって、血液中のビタミン誘導体濃度が一時的に高くなったとしても、不要な分は肝臓に貯蔵されるので、サプリメントより副作用のリスクは低め。

とはいえ、医薬品はサプリメントより成分濃度が高いので、やはり、用法用量をしっかり守ってください。

 

参考:【指定第2類医薬品】ビタミネンゴールド
ビタミネンゴールドは、ビタミンA・B群・C・D・Eなどのビタミンを始め、不足しがちなミネラルの鉄分(血液中の赤血球の構成成分)とカルシウム(骨や歯の構成成分)を配合したビタミン・ミネラル配合保健薬です。

【指定第2類医薬品】ビタミネンゴールド
出典:詳細・購入はこちら

 

サプリメントの「含有量」を疑え!?

サプリメントの「含有量」を疑え

サプリメントを選ぶとき、メーカーや価格、機能だけでなく、含有量もチェックしますよね。

成分表に書かれた含有量は、果たしてその通りに入っているのか疑問に思う人もいるかもしれません。

実は、サプリメントの成分表に記載されている含有量と、実際の含有量が違う場合があるのをご存知でしょうか?

これは、何もすべてが、悪質なメーカーが含有量を水増しして記載したからというわけではありません。

例えば、医薬品と、同じ種類の成分を配合されたサプリメントを比較した場合、成分としては同じですが、両者は「含有量の基準」に対するとらえ方が違うのです。

医薬品の場合、食品の賞味期限のような使用期限があり、その期限内は成分の含有量が一定の範囲になければならないということが、法律で決められています。

つまり、使用期限内にあるにも関わらず、含有量が基準を下回ってしまうようなものは、医薬品として認可されません。

一方、サプリメントの場合はというと、成分表示に書かれている含有量は、実は工場で製造時点の量であることがほとんど。

サプリメントの製造段階で配合された量であって、ビタミンCのように時間が経つと効果が低くなる成分については、仮に賞味期限内でも表示どおりの量が含まれているとは限らないのです。

サプリメントを選ぶときは、価格やイメージだけで選ぶのではなく、信頼できるメーカーかどうかも基準に入れてください。

一般的に、医薬品を扱っているメーカーの信頼度が高いようですが、他のメーカーでも、良心的なところは、医薬品に準じた基準を社内で設けているようです。

信頼できるメーカーは、カスタマーサポートがしっかりしているので、問い合わせてみるのも一つの手です。

知っておきたいサプリメントの知識あれこれ

サプリメントの効果を引き出す飲み方とは

強精剤

 

サプリメントは食品扱いなので、医薬品のように服用時間に具体的な指示はありません。

ただ、一般的に食事をするときに一緒に摂るのが良いとされています。

これは、図1で示されたように、それぞれの栄養素は青と緑でつながった栄養素と複雑に相互作用しながら消化吸収されるからです。

人によっては、サプリメントを空腹時に摂ると軽い吐き気や胸焼けの症状があらわれることもあるようです。

自分の体調をみながら、飲み忘れをしないタイミングがベストといえるしょう。

(持病などで心配な場合は、製品のラベルに記載してあるメーカーに問い合わせてください)

「天然」or「合成」効果が高いのはどっち?

「天然」or「合成」
出典:BELTA

 

サプリメントは、天然成分でできているものと、人工の成分でできているものがあります。

イメージとしては天然成分の方が効果はありそうな気がしますが。
実際のところ、どちらが優れているのかははっきりしていません。

例えば、レモン由来のビタミンCが配合された天然サプリメントの場合、ビタミンC以外にもレモンに含まれる栄養素も同時に摂ることができます。

また、吸収力の面でも、天然成分は合成成分よりまさるといわれています。

これだけ聞くと天然一択のような印象を受けますが、しかし、レモン由来のビタミンCを含んだサプリメントの場合、それぞれのレモンによってビタミンCの含有量が違うので、製品ごとのビタミンC量にばらつきが出てしまうことがあります。

天然だから良いと安易に選ばず、レモンの鮮度や栽培地、加工された環境などもチェックする必要があるでしょう。

一方、合成成分でできているサプリメントは、純度が高く、異物の混入が少ないという特徴があります。

天然のものは原料や加工にコストがかかるので、製品の値段も高くなりますが、人工のものはそれよりずっとお値打ちになるというメリットも。

効果やコストなどを全体的にみて、自分のニーズに合ったサプリメントを選んでください。

サプリメントの過剰摂取は危険!

サプリメントの過剰摂取は危険

 

サプリメントの過剰摂取によってあらわれる諸症状

サプリメントで栄養成分を摂りすぎても、体外に排出されるから大丈夫と思っている人もいると思いますが、それは間違いです。

ビタミン、ミネラルなどの一度に摂り過ぎると、副作用があらわれる場合があります。

例えば、ビタミン6の過剰に摂ると手足の神経障害の原因になるほか、ビタミンDのとり過ぎは、吐き気・嘔吐などの要因となります。

また、カルシウムのとり過ぎると、その他のミネラルの吸収を阻害してしまいます。

ガンのリスクも増大!

さらに、サプリメントの過剰摂取は、がんリスクを高めるともいわれています。

例えば、β-カロテンを摂り過ぎると特に喫煙者に対して肺がんリスクがアップし、イソフラボンを摂りすぎると女性の場合、肝がんリスクがアップするというものです。

サプリメントは、成分がギュっと濃縮されているため、飲み方を間違えるとすぐに摂りすぎになってしまいます。

一方、普通の食べ物は、特定の栄養素や成分だけが含まれているわけではありません。

「ビタミンCが多い」「亜鉛が豊富」などとされる野菜やフルーツでも、その栄養素だけでなく数多くの栄養成分で構成されています。

そのため、一般的な食事なら、特定の栄養素が極端に摂りすぎになることは、ほとんどないといえるでしょう。

(もちろん食べ物から摂る栄養でも、明らかに偏っていれば何かしらの影響はあります)

サプリメントは、たくさん摂るほど効くわけではありません。

必ず商品ラベルに記載されている推奨量をチェックし、順守するようにしてください。

体に不調があらわれたら、すぐに摂取をやめ、医師に相談しましょう。

サプリメントとの付き合い方を見直そう

サプリメントとの付き合い方

これまで解説してきたように、「サプリメントを摂っているから、食事が偏っても構わないし、運動もしなくていい」というのは間違いです。

とはいえ、健康にとって理想な生活習慣を送るのは、相当難しいもの。

そこで、サプリメントの利用が生活習慣を見直すきっかけになるのなら、サプリメントを利用する意味はあるでしょう。

当然ながら、本当に健康に良い生活とは、早起きをして、バランスの良い食事を3食食べ、適度に運動をし、夜更かしをしないことです。

「自分はサプリメントを摂っているから、食事内容がおろそかになっても大丈夫」と思ってサプリメントを利用するのなら、それは本末転倒。

食ベ物との正しい付き合い方は、味・色・香りを楽しみつつ、多種多様な食べ物をおいしくいただくことです。

そうすることで、結果的に栄養バランスが良くなり、満足感が得られて、心身に良い影響を与えるのです。

サプリメントは、あくまでそのサポート的な役割をする存在。

疲れやすさや気力のなさの原因が偏った食事にあると思う人は、食事そのものと向き合ってみる必要があると思います。

まとめ

これまで、サプリメントは万能ではないとご紹介してきましたが、何もサプリメントの有用性まで否定しているわけではありません。

しっかり食事をしても不足しがちな栄養素をサプリメントでカバーすることで、より健康になり、諸症状が緩和されることもまた事実です。

最も重要なのは、サプリメントはあくまで「補助的存在」であることを忘れないこと。

「野菜や果物の代わりにサプリメントを摂ろう」という風には考えず、食事とサプリメント、双方を上手く組み合わせられるのがベストだと思います。

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