腹筋や腕と違い、地味な印象の「背筋」。
しかし、バランスの良い体づくりのためには、腹筋と同じくらい背筋力も大切です。
強くてカッコいい男は「背中」で分かるのです。
では、どうすれば背筋力を効率的に鍛え、見た目だけでなく、瞬発力や持久力を格段にアップさせるにはどうしたら良いか?
今回は、「背筋力を鍛えるおすすめの筋トレ8選」と、「効果的に背筋力を鍛えるためのポイント」を紹介します。
目次
まずは知ろう!背筋を構成する3つの筋肉
一言で「背筋を鍛える!」といっても、背中の筋肉はいくつかのパーツに分かれており、これらをバランスよくトレーニングする必要があります。
背筋は大きく分けると3つあり、「僧帽筋」「広背筋」「脊柱起立筋」、さらにそのほかの筋肉で構成されています。
筋肉の種類によって効果的な筋トレ法も異なるので、「どの筋肉がどの部位にあたるのか」ということをしっかり理解していないと、効率のいいトレーニングができません。
まずは、背中を構成する3つの背筋について簡単に解説しましょう。
僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋(そうぼうきん)は、背中の上部にある筋肉です。
一般的には「肩」と認識されることが多く、「肩こり」というとおもに僧帽筋とその周辺の血行不良になります。
僧帽筋は肩周辺だけでなく、最上部は首まで伸びており、最下部は背中の中心あたりまでに及ぶ、かなり大きな筋肉。
また、全体的にみるとダイヤ形のような形をしているのが特徴です。
広背筋(こうはいきん)
広背筋(こうはいきん)は、両脇の下部から背骨にかけて広がっている筋肉です。
筋肉の中で最も大きいともいわれており、広背筋を鍛えることで体つきも大きく変わって、がっしりとした安定感(いわゆる「逆三角形」型の体)が出てきます。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
脊柱起立筋(せきちゅうりつきん)は、おもに背骨に沿って腰から背中に伸びる筋肉をいい、脊柱起立筋を鍛えることで、腰から背骨周辺ががっしりとして、腰痛が起こりにくくなるメリットもあります。
脊柱起立筋は、僧帽筋・広背筋とは筋肉の種類が違い、前者は「インナーマッスル」、後者は「アウターマッスル」と呼ばれています。
アウターマッスルは外側にある筋肉で、トレーニングで鍛えられる筋肉のほとんどがアウターマッスルで、比較的鍛えやすい筋肉でもあります。
一方、インナーマッスルは内側にある筋肉で、体のバランスを保ったり、骨や関節を支える役割をします。
脊柱起立筋は、トレーニングの成果があまり見えないので軽視されがちですが、筋トレで鍛えることで、重心がブレにくいしなやかな体づくりができ、結果、怪我の防止にもなるので、重要な筋肉の一つといえるでしょう。
背筋力を鍛える筋トレの種類8選!
いくつかある背筋力を鍛える筋トレの中でおすすめの8種類をピックアップしました。
それぞれのトレーニングを詳しく知りたい方は、「【実践編】自宅で出来る背筋力アップ筋トレ方法○選!」をご覧ください。
広背筋を重点的に鍛えられる筋トレ
おすすめ筋トレ1|プランク
プランクは、うつぶせで肘とつま先だけで体を持ち上げた状態を維持する、体幹トレーニングの1つです。
体を一直線にして、1回で30秒~1分キープします。
簡単そうですが、20~30秒経ってくると、徐々に腰や腹筋に効いてくるのを感じます。
プランクは背筋や腹筋だけでなく、腰回りのシェイプアップや体幹の強化にも効果的です。
僧帽筋を重点的に鍛えられる筋トレ
おすすめ筋トレ2|デクラインプッシュアップ
普通のプッシュアップをベースに、椅子などで高さに変化をつけることで、格段にハードなプッシュアップになります。
基本的に大胸筋上部を鍛えるトレーニング法ですが、この状態から顔を前に向けることで、僧帽筋にもアプローチできます。
脊柱起立筋群を重点的に鍛えられる筋トレ
おすすめ筋トレ3|バックエクステンション
バックエクステンションは、うつ伏せになって体を反らせるトレーニング法です。
脊柱起立筋(せきちゅうりつきん)にアプローチすることができ、ほかの全ての背筋の筋トレのベースとなります。
広背筋・僧帽筋を重点的に鍛えられる筋トレ
おすすめ筋トレ4|ワンハンドダンベルロウ
ダンベル1つとベンチや椅子を使って行うので、自宅でもできます。
ワンハンドダンベルロウは、広背筋・僧帽筋にアプローチする筋トレ法で、体が安定した状態でできるので腰への負担が少ないのがメリット。
筋肉への刺激が意識できやすく、初心者~中上級者までおすすめのトレーニングです。
広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋を重点的に鍛えられる筋トレ
おすすめ筋トレ5|懸垂(チンニング)
懸垂(チンニング)は、自重トレーニングの中でも最も難易度の高いトレーニングの1つです。
体重分がすべて負荷になるため、その筋トレ効果は高く、背筋だけでなく上半身すべての筋肉をバランスよく鍛えられます。
持ち手や手幅を変えるだけで、アプローチする部位を変化させることができ、アレンジも自在。
チンニングの場合は、特に正しいフォームで行うことが大切。
反動を使わないように注意してください。
おすすめ筋トレ6|ラットプルダウン
ラットプルダウンは、チンニングを正しく行うのがまだ難しいという人におすすめのトレーニング法。
ラットプルダウンなら、難易度を低くしながら、チンニングと同じような刺激を背筋に与えることができます。
またマシントレーニングなので、負荷を大きくするのも簡単です。
おすすめ筋トレ7|デッドリフト
デッドリフトは筋トレの代表格で、背筋力を鍛えるのに不可欠。
デッドリフトだけで、太もも~お尻までの下半身だけでなく、体の背面のほとんどの筋肉にアプローチします。
正しいフォームを会得すれば、背筋を格段に鍛え上げられます。
おすすめ筋トレ8|リバーススノーエンジェル
リバーススノーエンジェルは、うつ伏せの状態で肩を目いっぱい動かすことで広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋など背筋すべてにアプローチできます。
また、肩甲骨のストレッチ効果もあり肩こり解消にもなります。
筋トレの回数の目安は?
ダンベルやバーベル、トレーニングマシンを使っての筋トレの回数は、筋肉をどうつけたいかによって変わります。
筋肉を大きくしたいなら、8?10回何とか持ち上げられる重さ(=8?10RM)で3セット以上が推奨。
筋肥大のためには、高重量を扱う必要がありますが、重ければ良いとというものではないので注意してください。
さほど筋肉を大きくする必要がない場合は、15?20RMで3セットが推奨です。
このレベルの負荷であれば、筋肥大を目指すときよりも大きな力を発揮しなくても良いため、「遅筋(ちきん)」が働くようになります。
遅筋をトレーニングすると、体の引き締めに効果的なのです。
筋トレメニューの組み方
筋トレは、ただ毎日行えば良いというものではありません。
筋肉の成長のプロセスでは「超回復」とよばれる効果があり、筋肉の回復を待ってからトレーニングを再開することで、よりパフォーマンスが上がるのです。
超回復するのに必要な時間は、運動強度や部位によって異なりますが、おおむね2?3日間が目安です。
つまり、同じ部位のトレーニングをするには2~3日かかるため、日によって「部位を分けながら筋トレする」とより効率的で無理がありません。
この部位を分けながらトレーニングするやり方を、「スプリット・ルーティン」と呼ばれています。
鍛える部位の分け方
仮に週3日トレーニングを行うとして、初心者と中上級者では鍛え方が異なります。
●初心者
初心者の場合は、
・上半身の日
・下半身の日
の2つに分けて、トレーニングするのがおすすめ。
上半身の中でも、腕や腹筋、背筋などさらに分けることで、バランスよくメニューを組み立てられます。
●中上級者
中上級者の場合は、より細かく
・上半身の押す力
・上半身の引く力
・下半身
の3つに分けて筋トレをします。
中上級者であれば、1日のうちに上半身と下半身の両方をトレーニングできると思いますが、超回復のためには、まったく同じメニューで週に何度も行わないほうが効果的です。
そこで、上半身をさらに「押す力」と「引く力」の2つに分けるというわけです。
胸筋を鍛えるときに、ベンチプレスのような押す力のトレーニングばかりしていると、引く力との筋力の差がついてしまい、体のバランスが悪くなります。
体には、腹筋と背筋のように対となる「拮抗筋(きっこうきん)」があり、そのバランスが悪くなるとケガの要因にもなります。
中上級者は、押す力と引く力の両方をバランスよくメニューに組むようにしてください。
トレーニングベルトでパフォーマンスを上げろ!
筋トレ中に、肩や膝などを痛めることがありますが、もっとも痛めやすいのが腰です。
その腰痛を防止するためのアイテムが、トレーニングベルト。
トレーニングベルトは、特にバーベルのような高負荷のトレーニングを行うときに、必ず締めておきたいベルトです。
トレーニングベルトの効果①|腹圧が高まり腰痛予防になる
トレーニングベルトを腰に巻くことで腹圧が高まり、体のバランスが安定します。
腹圧とは、腹に空気を思いっきり入れて、腹が膨らんだときの腹の圧力のこと。
効果的なトレーニングをするには、正しいフォームで行うのがポイントになりますが、トレーニングベルトを巻くことで腹圧が高まると、体幹の安定感がアップし、バーベルを持ち上げたときにも重心がブレずに、正しいフォームをキープできます。
これによって腰への負担が減り、腰痛予防につながるというわけです。
トレーニングベルトの効果②|筋トレのパフォーマンスが上がる
トレーニングベルトの腰痛予防以外の効果として、「パフォーマンス向上」があります。
腹圧が高まってバランスが安定すると、筋肉がより効率的に働き、より高負荷なトレーニングも可能になります。
(とはいえ、急激に負荷のかけすぎるとケガの要因となるので注意してください。)
トレーニングベルトの使い方
トレーニングベルトの使い方は単純で、ただ腰に巻くだけ。
しかし、腹圧を効果的に上げるためには、腹部の肋骨と骨盤の間に少しきつめに巻くのがコツです。
トレーニングベルトの目的は腹圧を上げることで、ゆるい巻き方では効果はないので注意してください。
背筋の筋トレをするうえでの注意点5つ
背筋の筋トレをするうえでの注意点を5つ紹介します。
間違った方法で行うと、効率が悪いどころかケガの要因に。
しっかりとポイントを押さえて、より効果的に背筋を鍛えましょう。
常に正しいフォームで
よく、「背筋は鍛えるのが難しい」といわれることがありますが、これは誤ったフォームでトレーニングしていることで、十分に効果を実感できていないケースが少なくありません。
正しいフォームで筋トレしないと、鍛えたい筋肉にうまくアプローチできないどころか、ケガのリスクも高まってしまいます。
正しいフォームを心がけ、鍛えたい部位に適切な負荷がかかっているかを意識しながら、ていねいな動作で行うのがポイントです。
腕の力や反動を使わない
体やバーベルなど「持ち上げる」動作を含む筋トレの場合、ウエイトを動かすことに集中してしまい、無意識に腕の力や体の反動の力を使ってしまいがち。
腕の力や反動の力を使ってしまうと、背筋にかけるべき負荷が分散されてしまいます。
最初は、回数や負荷の大小にこだわらず、正しいフォームを身につけることから始めてください。
背すじはまっすぐに
バックエクステンションなど一部、体を反らす筋トレもありますが、背筋を鍛えるときは「背すじをまっすぐ」が基本です。
背すじが、曲がったり反れたりしてまっすぐでない状態だと、背筋に効果的にアプローチできず、効率よく鍛えられないだけでなく、腰に負担がかかり腰痛のリスクも高まってしまいす。
負荷をかけすぎない
一日でも早く背筋を鍛え上げたいからと、最初から高負荷のウエイトトレーニングや難易度の高い筋トレに挑戦するのはNG。
慣れないうちは正しいフォームがとれず、トレーニングが効率的ではなくなりますし、ケガもしやすくなってしまいます。
筋トレはフォームを正しく、無理をかけ過ぎない負荷で行うよう心がけてください。
休息はしっかりと
筋トレで筋肉に負荷がかかると、筋繊維が壊され、それが修復された後は、以前より屈強な筋肉に生まれ変わります。
ただ、毎日のように負荷をかけ続けてしまうと、筋肉は壊れるだけで十分に修復できず、筋肉が成長できません。
背筋の場合は、筋肉が回復(=超回復)するまでに2~3日程度、時間がかかります。
効果的に背筋力をつけるためにも、筋トレをしたら、しっかりと筋肉に休めましょう。
その間は、別の部位を鍛えることで、バランスよく全身の筋力がアップします。
まとめ
背筋力をトレーニングするときは、腹筋や腕、下半身の筋肉をバランスよく鍛えるのが鉄則。
超回復の様子をみながら、着実に鍛え上げていってください。