疲れたときや、スタミナをつけたいとき、食べたくなるのが「肉料理」。
ひとことに肉料理といっても、選択肢は無限にあります。
では、どの肉の種類を選び、どのメニューを選ぶのが正解なのか?
実は、疲労回復・スタミナアップするには、「牛肉」「豚肉」「鶏肉」はそれぞれメリットがあり、どれでも効果があることがわかっています。
さらに食べ合わせ次第で、効果を大幅に高めることも可能なのです。
そこで、「疲労回復・スタミナアップに効果的なおすすめ肉料理メニュー」を紹介します。
意外な「アノ肉」も登場しますので、ぜひ、ご一読ください。
目次
疲労回復、スタミナアップする肉料理7選!
では、それぞれの肉の特徴と、おすすめの肉料理をご紹介しましょう。
一緒に食べたいな食材・調味料の、疲労回復・スタミナアップ効果についても解説します。
「牛肉」はここがいい!
牛肉は良質なたんぱく質、脂質のほか、ビタミンB1、ビタミンB2,、ビタミンB12などのビタミン類、鉄、亜鉛、リンなどのミネラル類も豊富です。
特に、おもに肉や魚に含まれる鉄分(ヘム鉄)は、野菜に含まれる鉄分(非ヘム鉄)に比べて、吸収率が5~6倍高いのも特徴。
鉄分を十分にとれれば、貧血、疲労感を起こしにくい体づくりにつながります。
牛肉のたんぱく質には、必須アミノ酸8種類がバランスよく含まれ、丈夫な筋肉や骨をつくるのに不可欠です。
滋養強壮に「牛ヒレ肉」
牛肉の部位の中で、疲労回復、スタミナアップにおすすめしたいのは「牛ヒレ肉」です。
牛ヒレ肉は、疲労回復、スタミナアップだけでなく、貧血予防にも効果的。
また脂肪分も少ないので、がっつり食べつつカロリーセーブしたい人にピッタリです。
牛肉のたんぱく質には、ストレスを抑える「トリプトファン」が少ないので、卵やチーズとともに食べると、なお良いですね。
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疲労回復・スタミナアップする食べ合わせ
牛肉は、にんにく、トマト、ニラ、牡蠣、シジミなどと相性バッチリ。
効率的に疲労回復ができます。
中でも、にんにくやニラなどに含まれるアリシンは、新陳代謝を上げ、免疫力を高める作用があります。
おすすめ肉料理1|オイルマリネの牛ヒレステーキ
腸内環境改善にも「酢」
お酢には疲労物質「乳酸」を分解し、エネルギー代謝をサポートする作用があります。
米などの炭水化物(糖質)と、そのエネルギー代謝を促進させるビタミンB1(牛肉、豚肉に豊富)とともに食べると、効率的に疲労回復ができます。
また、お酢は腸内で悪玉菌を抑制し、お酢成分「グルコン酸」が善玉菌を増やすことから、腸内環境の改善も期待できます。
腸内環境が整って便秘が解消されると、疲労物質がスムーズに排出され、疲れとストレスに強いタフな体づくりにつながります。
おすすめ肉料理2|牛肉とトマトの甘辛炒め
クエン酸・リンゴ酸の宝庫「トマト」
トマトは、「クエン酸」や「リンゴ酸」が豊富。
この2つは、新陳代謝をアップさせ、エネルギー代謝の効率が上げつつ、疲労物質「乳酸」の蓄積も防止します。
また、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、リコピンは、すぐれた抗酸化作用をもち、細胞内の活性酸素を除去。
結果的に疲労回復に大きく寄与します。
「豚肉」はここがいい!
豚肉はビタミン、ミネラルが豊富。
特に「ビタミンB1」が多く、牛肉や鶏肉と比較して5~10倍も含まれています。
ビタミンB1は、糖質(炭水化物)のエネルギー代謝に関係しているほか、エネルギー代謝のプロセスで発生する疲労物質「乳酸」の滞留を、防止する作用もあります。
この作用によって、効率的な疲労回復につながるというわけです。
ビタミンB1不足になると、慢性的な疲労感や情緒不安定などの症状があらわれることがあり、人間にとって重要な成分といえます。
また豚肉には、細胞の老化を防ぐビタミンB2、ビタミンEも多く含まれているので、老化予防、ガン予防の作用があるほか、動脈硬化の予防にも効果があるとされています。
炭水化物を代謝「豚ヒレ肉」
豚の部位の中で、疲労回復、スタミナアップにもっともおすすめなのが「豚ヒレ肉」です。
豚ヒレ肉は、豚の部位の中でも赤身の割合が高く、低カロリーでヘルシー。
「ガッツリ肉料理が食べたい」というときでも、豚ヒレ肉なら効果的にカロリーセーブできます。
豚ヒレ肉は、ビタミンB1を豊富に含んでおり、炭水化物の代謝に不可欠で、疲労回復に寄与。
炭水化物中心の食事の人に必要なビタミンです。
また、鉄やカリウムなどのミネラルも多く含まれているほか、血中コレステロールを低下させる「オレイン酸」も豊富なので、動脈硬化の予防にもなります。
疲労回復・スタミナアップする食べ合わせ
豚肉は、ニラ、タマネギ、にんにく、なすなどと一緒にいただくと、より疲労回復・スタミナアップに効果的です。
豚肉は、新陳代謝を促したり疲労回復に寄与する「ビタミンB1」を多く含んでいますが、ストレスを感じることによって、尿とともに排出されてしまうというデメリットがあります。
そのメリットをカバーするのが、アリル化合物を豊富に含むニラ、タマネギ、ニンニクなどです。
アリル化合物は、ビタミンB1と結合して安定化させることから、ビタミンB1がこわれにくくなり、安定して代謝を行うようになります、
おすすめ肉料理3|豚ヒレ肉のソテー ニンニク餡ソース
おすすめ肉料理4|豚ニラ玉
スタミナフード「ニラ」
中華メニューでもよく使われているニラ。
レバニラや餃子など、スタミナアップ料理では欠かせない食べ物です。
料理の主役ではないものの、野菜の中でもトップクラスに栄養価に優れています。
ニラの高い疲労回復効果の秘密は「β-カロテン」。
β-カロテンには、細胞の老化を防ぐほか、細胞をダメージから守る作用があります。
ほぼ完全食「卵」
卵に豊富に含まれる「アミノ酸」は、筋肉中の疲労物質の除去に寄与します。
特に、筋肉疲労や筋肉痛の軽減に役立つのが、「イソロイシン」「ロイシン」「バリン」「アルギニン」などのアミノ酸で、筋肉に直接運ばれてエネルギー源となります。
このプロセスで疲労物質である「乳酸」が発生しないので、筋肉疲労が少なくて済むのです。
卵のアミノ酸によって、エネルギーを作り出しながら、疲労物質が取り除かれるので、ダブルでメリットがあるわけです。
また、卵はビタミンCと食物繊維を除いて、ほとんどすべての栄養素が詰まった優秀な食べ物でもあります。
脳組織の老化を防止し活性化させる「レシチン」をはじめ、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンE、コラーゲンなど総合的に栄養がとれるのもメリットです。
「鶏肉」はここがいい!
鶏肉は、肉の繊維が細いので分解されやすく、タンパク質の消化吸収がスムーズ。
また鶏肉は、人間の体内でつくることができない必須アミノ酸「メチオニン」を多く含んでいます。
メチオニンは肝機能アップに寄与したり、脂肪肝を防止する作用があります。
また、牛肉や豚肉などと違い、鶏肉の脂質に「オレイン酸」や「リノール酸」といった、血液中のコレステロールを抑制する作用がある成分が、豊富に含まれています。
さらに、体内でビタミンAの働きをする「レチノール」も多いのが特徴。
レチノールは、皮膚や粘膜を強化して肌荒れ予防に寄与します。
手羽先や鶏皮のコラーゲンとレチノールの相乗効果で、健康的で若々しい肌が手に入ります。
疲労回復物質の宝庫「鶏むね肉」
鶏肉の部位の中で、疲労回復・スタミナアップに特におすすめなのが、「鶏むね肉」。
鶏むね肉は、高タンパク・低脂肪で、ダイエットに良いだけではありません。
疲労回復物質として今注目の「イミダゾールジペプチド」を豊富に含んでおり、疲労回復に大きく寄与するのです。
また、イミダゾールジペプチドのほかの効果として、脳の老化予防、代謝アップ、睡眠改善などがあります。
ただ、イミダゾールペプチドの効果が実感できるのは、継続的に食べて2週間くらい。
普段の食生活に意識的に取り入れたい食ベ物です。
疲労回復・スタミナアップする食べ合わせ
鶏肉は、「グルタミン酸」や「メオニチン」などの必須アミノ酸を豊富に含んだ良質のタンパク源であるだけでなく、亜鉛などのミネラルも豊富で、スタミナアップにも効果的です。
クエン酸を多く含む「レモン」や「ブドウ」などと鶏肉を食べ合わせることで、エネルギー代謝を活発になり、鶏肉のタンパク質や亜鉛の強壮作用が相乗的に上がります。
おすすめ肉料理5|鶏むねのレモンバターソテー
クエン酸の王様「レモン」
レモンというとビタミンCのイメージが大きいですが、それだけではありません。
「クエン酸」も豊富に含まれています。
レモンの酸っぱさのもと「クエン酸」はレモンの別名「クエン」に由来。
疲労回復やストレス解消に効果があるとされ、スッキリしたいときにうってつけです。
レモンのクエン酸は、全食品中トップの含有量なので、肉料理にも積極的に取り入れたい食材です。
おすすめ肉料理6|鶏ひき肉と豆腐のハンバーグ
脳の疲労に「豆腐」
豆腐は、良質のたんぱく質(必須アミノ酸)を豊富に含む食材です。
疲労には、脳の疲労と体の疲労の2種類がありますが、脳の疲労では、アミノ酸不足が大きく影響しています。
また、疲労によってダメージを受けた細胞をメンテナンスするにも、アミノ酸が不可欠。
疲労回復、ストレス緩和に寄与しているのです。
また、コレステロール値を抑制するリノール酸や、お通じがスムーズになる大豆オリゴ糖、脂肪の代謝アップ作用のあるレシチン、中性脂肪を抑えて、動脈硬化を予防するイソフラボンなども含んでいます。
さらに、カルシウムも多く含むので、骨を頑丈にしたり、筋肉や神経の働きを正常にする作用も期待できます。
消化・吸収がよいので、胃腸の具合がイマイチというときにもピッタリです。
「クジラ肉」も実はいい!
肉といえば、牛、豚、鶏ほか、マトンや馬肉などがだいたいのイメージですが、実は「クジラ」も疲労回復・スタミナアップに良い食べ物です。
クジラ肉に豊富に含まれる「バレニン」は、疲労物質の発生を抑えるほか、体脂肪が効率的に燃えるようにするため、ダイエットにも効果的とされています。
また、筋肉の耐久力アップも期待でき、疲れにくい体作りにうってつけ。
バレニンは鶏肉や豚肉にも含まれていますが、含有量を比べると、100gあたり鶏肉5mg、豚肉48mg、イワシクジラ肉1285.3mg(釧路水産試験場『平成21年度事業報告書』より)とダントツに多いのがわかります。
肉の優等生「クジラ肉」
クジラは、肉類の中でも優等生。
わかりやすく、クジラ(赤肉)と、うなぎ、牛肉、豚肉、馬肉、鶏(むね肉)、鶏(ささ身)、カツオ、マグロ(赤身)を比べてみましょう(文部科学省『五訂増補 日本食品標準成分表』より)。
クジラのカロリーは、牛肉の約1/5、豚肉の約1/3で、鶏(ささ身)とほとんど同レベルという、かなりの低カロリー。
また、たんぱく質も豊富に含んでいて、トップのマグロやカツオの次に多く、牛肉の約2.5倍も多いのです。
いさらに、脂質はクジラがグッと少なく、鶏(ささ身)の約半分しかありません。
鉄分においてはトップの馬肉の次いで多く含んでおり、コレステロールにいたっては鶏(ささ身)の約半分というヘルシーさ。
スタミナアップにも、ダイエットにも、どちらにも優秀な肉というわけですね。
商業捕鯨の禁止で、以前よりクジラ肉は手に入りにくくはなりましたが、禁止されたのは大型のクジラで小型のクジラは対象外。
また調査捕鯨によって、意外にもクジラ肉は多く市場に出回っています。
クジラ肉は部位や調理の仕方によって、さまざまなバリエーションが楽しめるのも美点です。
バレニンは、加熱によってこわれることは少ないですが、刺身にすればまるごとバレニンの成分をいただけます。
ちなみにクジラの皮は、「DHA」や「EPA」などのオメガ3脂肪酸が多く、「DPA」という血管の修復作用がEPA の10倍もあるといわれる新成分も豊富です。
おすすめ肉料理7|クジラのユッケ
疲労回復・スタミナアップをより効率的に!食生活のポイント2
効果的に疲労回復・スタミナアップするには、肉料理を食べるだけでは足りません。
タフな体づくりのために取り入れたい食習慣を2つご紹介します。
主食は玄米にシフトしよう
主食をごはんにするときは、白米のみのごはんではなく、玄米や発芽米・雑穀米などの未精製の米を混ぜたごはんを選ぶようにしましょう。
米は、精米するプロセスで「ぬか」や「胚芽」を除去しますが、このぬかや胚芽は栄養のかたまりで、ビタミンB1や食物繊維を豊富に含んでいます。
玄米食は消化に時間がかかるため、100%白米より腹持ちも良く、ダイエットにもなります。
アルコールのとり過ぎはNG!
お酒に含まれるアルコールは、何よりも優先的に肝臓で解毒・代謝されるので、食事でとった糖質、たんぱく質の代謝が後回しになり、疲労回復を遅らせる要因となります。
また、アルコールをとり過ぎると、代謝に疲労回復に役立つビタミンB1が大量消費されてしまい、さらに疲労回復を妨げてしまうのです。
ダイエットのために夕食の主食を抜いている人も多いですが、疲労回復のためには糖質よりもアルコール量を抑えた方が効果的です。
まとめ
肉料理は無限にありますが、肉以外の疲労回復・スタミナアップ食材を知っておくと、メニュー選びもスムーズになります。
ぜひ、食べ合わせも意識してください。